高麗人参を食材として摂る方法とは

古来生薬として漢方に利用されてきた高麗人参は、現在ではカプセルや錠剤といったサプリメントの原料に配合されるなど、つづけて飲みやすい工夫が施された製品に幅広く活用されています。
高麗人参は加工法によって、水参(すいじん)・白参(はくじん)・紅参(こうじん)の3種に分けられており、それぞれに適した利用法に沿って摂取するのがもっとも効果的とされています。
とはいえ、必ずしも種類によって調理法が厳密に決められているわけではなく、有用成分を無駄なく摂取しつつ、おいしく食べる方法があるのです。
この記事では、食材としての高麗人参をおいしく摂取する方法についてご紹介します。

高麗人参の代表的な料理法

乾燥・加工した種類で煎じる『高麗人参茶』

高麗人参の産地の南朝鮮半島では、『人参茶(インサムチャ)』という、高麗人参を煎じて飲む習慣が現在でも残っています。
一般的に利用されるのは乾燥・加工した種類である紅参で、刻んだものをやかんや鍋に入れて水から煮出し、乾燥ナツメやショウガなどを加えて2時間以上煎じてできあがります。
紅参が高麗人参茶に主に用いられるのは、その有用成分が表皮付近にもっとも多く含まれているためです。
また、紅参は皮つきのまま蒸し上げた後に乾燥させるという加工の過程を経るので、有用成分が濃縮され含有量が増えることや、煎じた際にそれが溶け出しやすくなることが確認されているために、煎じて飲むのがもっとも適しているのです。

高麗人参を飲む際のポイントとは?

漢方薬の服用は、病院での処方薬とは異なり、食前や空腹時が効果的です。
高麗人参は古くから生薬として漢方に利用されてきたものなので、煎じてつくる高麗人参茶も同様に食前に飲むと吸収率が高まり、効果も上がるとされています。
また、高麗人参には独特の苦みやにおいがあるので、気になる場合にはハチミツやレモンなどの果汁を加えると、特有のクセが緩和されて飲みやすくなります。

家庭で簡単につくれる『高麗人参の天ぷら』

生のままの水参を利用してつくる天ぷらも、人気のある食べ方として知られています。
日本における高麗人参の産地の、長野県や島根県などの料理店や旅館の中には、高麗人参の天ぷらを提供しているところも多くあり、生の高麗人参が手に入れば、通常の野菜の天ぷらと同様のやり方で自宅でも簡単につくれます。
高麗人参は加熱調理すると、独特の風味が軽減して食べやすくなる性質があり、天ぷらにすると自然な甘みが出て、揚げたてでは野菜のニンジンとジャガイモのような食感が楽しめるといいます。
また、細い根の部分や、太い根の部分を千切りにしてをかき揚げにすると、ゴボウに似た風味と食感が味わえるため、おすすめの調理方法といえます。
衣に使う卵は卵白のみにすると、しっかりした仕上がりになり、卵黄のみを使うとさっくりした軽い食感に仕上がります。

水参の購入方法や注意点について

市場に流通している高麗人参の70%以上は、朝鮮半島や中国東北部で生産されているため、生の状態の水参を一般の生鮮食品のようにスーパーなどでの購入はできません。
そのため、高麗人参の天ぷらを自宅で食べたい場合には、通販を利用するのがもっとも手軽です。
なお、水参は全体の80%以上が水分で占められているので、傷みが早く冷蔵保存しても10日ほどしか持たないのがデメリットです。
購入後はすぐに調理に利用するか、できる限り早く食べるのをおすすめします。

お酒に漬け込んでエキスを抽出する『高麗人参酒』

お茶以外の飲用として一般的なのは、アルコールに漬ける方法も挙げられます。
高麗人参酒は多くの酒造メーカーから販売されていますが、高麗人参を使って自宅でも手づくりできるのです。
高麗人参酒に使う種類は、生のものでも、加工したものでもどちらでも問題ありません。
水参を使う際には、汚れを水でよく洗い落としてから日陰で2~3日乾かしておくことと、有用成分を効果的に抽出したい場合は、栄養価の高い紅参を選ぶのがおすすめです。
漬け込むのに定番のお酒はホワイトリカーで、高麗人参に特有の風味がそのまま残るので、好みが分かれます。
飲みやすくつくるには、ワインなどの果実酒を蒸留したブランデーを利用するとよいでしょう。
ブランデーの持つ風味が高麗人参の特徴的なクセを緩和するだけでなく、その原料に使われている果実によって酸味や甘みが異なるため、どの銘柄を使うかで味わいが変化するので楽しみ方も増えるといえます。

高麗人参酒を利用する際の注意点

高麗人参酒は、虚弱体質や食欲増進、疲労回復に効果が期待できるほか、高麗人参の有用成分のジンセノサイドの働きにより、アルコール代謝に関わる酵素の作用を活性化するため、二日酔いの予防にも有効とされています。
とはいえ、アルコール度数が35~37度のお酒を使っているため、飲み過ぎは厳禁です。
飲み過ぎや内臓への負担を避けるため、少量の高麗人参酒をお湯割りにしたり、炭酸で割ったりしてから飲むのをおすすめします。